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(第3回) 第2世代「ハイブリッドとうごうシリーズ」の特徴

はじめに

さて、今回は最近普及が始まった『第2世代ハイブリッドとうごうシリーズ』を紹介しよう。
どんなに優れた品種でも、10年も作っていれば現場から色々と改善してほしい点が出てくるもの。
この新シリーズは、初代の弱点を1つずつクリアした最新の品種群なんじゃよ。

「イネの品種で『改良版』って珍しいね。
車やパソコンのモデルチェンジみたいだけど、お米でもそんなことが簡単にできるの?

簡単ではないがの。
以前紹介した『分子マーカー育種技術』を使うことで、ピンポイントな改良が可能になったんじゃ。
良いところはそのままに、さらに価値を高めていく。まさにイネのモデルチェンジじゃ。

へぇ、面白そう!
いね爺、詳しく教えて!

3-a. 風に負けない!「耐倒伏性」の向上

2012年から全国(北海道を除く)で栽培されてきたハイブリッドとうごうシリーズじゃが、
現場で一番問題になったことが何だか、みのりくんは想像できるかな?

たくさん穫れて美味しいお米でしょ?…
うーん、すごく作りにくい時期があるとか?

さすが現役の生産者、いい勘をしておる。
実は、一番の課題は『穂が大きすぎて、収穫前に倒れてしまうこと』じゃった。
一度倒れるとコンバインでの収穫が本当に大変でな。苦労する生産者の姿を見るのは心苦しかったものじゃ。

秋の忙しいときに作業が止まるのは大ダメージだよね。
最近は秋の豪雨も多いし…

そこで水稲研が取り組んだのが、両親系統の『背を低くすること』じゃ。
試行錯誤の結果、収量や美味しさはそのままに、背を20〜30cmも低くすることに成功したんじゃよ。
こちらの写真を見てごらん。

すごい!
これならドシッと安定して、風にも強そうだね。

名前は『ハイブリッドとうごう44号(弱半もち性)』と『45号(うるち性)』。
それぞれ3号と1号の後継にあたる新品種じゃ。
大分県の試験では10アールあたり900kgという驚きの収量を記録しての。
茎が短く丈夫な分、これまでより肥料をしっかり効かせた栽培もできるから、さらなる多収が期待できるぞ。

3-b. 選択肢が広がる!「熟期バリエーション」の拡大

続いては、収穫時期(熟期)のバリエーションの話じゃ。
これまでは『早生(東北向け)』と『晩生(西日本向け)』の2種類じゃったな。

地域の気候に合わせたり、同じ地域でも収穫時期をずらして作業を分散したりするのに便利だったよね。

そうじゃ。
第2世代ではその選択肢がさらに増える。
まだ試験段階じゃが、その中間の『中生(なかて)』と、さらに遅い『極晩生(ごくばんせい)』の育成が完了しておる。
種が増え次第、少しずつ届けていく予定じゃ。

選択肢が増えれば、もっと多くの地域や、大規模な農家さんでも使いやすくなるね!

予備調査でも、しっかり背が低くて大きな穂をつけ、44号並みにたくさん穫れることが分かっておる。
早く生産者のみなさんにお届けしたいものじゃな。

3-c. もっと効率よく種を採る!「採種効率」の向上

いね爺、他にも進化したところはあるの?

あるぞ、とっておきの工夫がな。
実は『混播(こんぱ)採種法』という新しい技術を取り入れて、F1の種(種子)をこれまでの何倍も効率よく収穫できるようにしたんじゃ。

こんぱ……?
普通の種採りと何が違うの?

その前に、昔からの『列植え採種法』を説明しておかんとな。
F1品種は2つの親系統(父親・母親)が混ざらぬよう、田んぼの中で場所を分けて植える必要があるんじゃ。
種として使えるのは母親側に実ったものだけじゃから、父親の種が混じるのを防ぐためじゃな。
さらに、植える日をずらして出穂の時期を合わせ、父親の花粉を母親に飛ばして受粉させるんじゃよ。

あ、写真を見ると、田んぼにきれいなストライプ模様ができているね!
色の薄いほうが母親で、濃いほうが父親かな?

その通り。
じゃがこの方法だと、父親を植えたエリアからはF1の種が採れんし、親同士の距離が遠くて花粉がうまく届かないこともある。
おまけに混ざらないよう、田植えも収穫も別々に、何回も作業を分けねばならんのじゃ。

ただでさえ忙しい時期に、そんなに手間がかかるのは大変だぁ。
人手不足の日本では厳しいね。

そこでわしらが開発したのが、最初から両親の種を混ぜて(混播)一緒に植えてしまう方法じゃ!
収穫時期がぴったり合うように両親を改良したからこそできる技でな。
収穫時は普通のイネと同じように一気に刈り取り、その後の選別工程で2つの種をきれいに分けるんじゃ。
親同士の距離が劇的に近くなったことで実りも良くなり、種の収穫量はなんと2〜3倍に跳ね上がったんじゃぞ!

すごい大改革!
これまで手間がかかって貴重だったF1の種が、安定してたくさん採れるようになったんだね。
それなら、種の値段がもう少し安くなる日も来るかも…

うむ。
普及が進めば、将来的にそうできる準備は整ってきた。
この第2世代が、日本の稲作の新しい扉を開けてくれることを願っておるよ。

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