(第1回)「ハイブリッドとうごうシリーズ」の優位性
はじめに
さて初回は、水稲研の看板である『ハイブリッドとうごうシリーズ』を紹介しよう。
コシヒカリの血統を受け継ぐ、日本で唯一の『F1(ハイブリッド)品種』のお米じゃな。
F1?ハイブリッド?
車みたいだけど、普通のお米と何が違うの?
お米は本来、自分の花粉で種を作る(自殖作物)が、F1は『別々の父親と母親を掛け合わせて作った第1世代(雑種第1代)』のことじゃ。
野菜やトウモロコシではお馴染みの安全な技術じゃよ。
最大の特徴は、両親よりガッシリ大きく育つ『雑種強勢(ざっしゅきょうせい)』という現象が起きること。ほら、この穂の大きさを見てごらん

うわぁ、穂のボリュームが全然違う!
たくさん穫れそう!
1-a. 常識破りの「超多収性」
まずは何と言っても『超多収性』じゃ。
実収の最高記録では、山形県で10アールあたり1005kg(約16.7俵)じゃ。
全国でもコンスタントに850〜900kg(14〜15俵)前後の多収記録が出ておるぞ。
日本の平均がだいたい8.5俵だから、約1.7倍も穫れるの!?
すごいなぁ
このグラフは、茨城県の多収記録データ(2019年)をもとにしたものじゃ。
主食用である『ハイブリッドとうごう3号』が、一般的な飼料用米以上の圧倒的な収量を叩き出しておる。
まさにケタ違いのポテンシャルじゃな!

恐るべし、ハイブリッド……!
でも、誰でもそんなに多く穫れるの?
もちろん、ポイントを抑えた栽培が大事じゃ。
それは今後の回でじっくり解説するとしよう
1-b. 日本全国で「選べる熟期」
ところでみのりくん、コシヒカリを北海道や沖縄で作らないのはなぜか知っておるか?
うーん、気候が合わなくて上手く育たないから?

そうじゃ。
イネは品種ごとに『秋が来た(日が短くなった)と察知して穂をつけるスイッチ』が違う。
だから地域ごとに適したスイッチの品種を選ぶ必要があるんじゃ。
そこで我が水稲研は、DNAマーカー技術を使って、地域に合わせたスイッチの改良を行った。
例えば東北向けの早生(わせ)品種なら、夏の日が長い東北でも冬の前にちゃんと収穫できるようになっとる
なるほど!地域の気候にぴったり合わせられるんだね
そうじゃ。
地域のメイン品種と収穫時期をずらして『ハイブリッドとうごう』を選べば、秋の刈り取り作業を分散できて、大忙しの農繁期がグッと楽になるぞ
1-c. 選べる食味
最後は『選べる食味』じゃ。
お米の硬さや粘りは、デンプンに含まれる『アミロース』の量で決まる。
もっちり系からパサパサ系まで、用途に合わせて自在に作り出せるんじゃよ
お弁当用、レトルト用、米粉用とか、お店や工場のニーズに合わせられるんだね
その通り。とうごうシリーズでは、すでに7種類の異なる食感を開発済みじゃ。
現在は、最もニーズのある『うるち米』と『弱半糯(よわはんもち)品種』を普及させておる。
ちなみに『弱半糯』は、コシヒカリとミルキークイーンの中間くらいの、絶妙なやわらかさじゃ。
食味テストでは本家のコシヒカリを超える高評価を得ておるぞ!
たくさん穫れるだけじゃなく、用途に合わせて選べて、しかも美味しいなんて無敵じゃない!
